「本のキュレーター勉強会」第3回

やれカナリアだ、臨床だ、ヤクザだと、
この手の話題で朝っぱらから盛り上がれる事も、また良し。

勉強会3回目です。皆さんジャンルをカバーリングする守備範囲の広さに定評がありますが、傾向としては「ちょい脱線」あたりが大好物だと感じました。最高です。

勉強会なので毎回なにかと勉強になるんですが、個人的にへえ
と感じたのはWikipediaを見れば何本が出るかを予測できる事でした。

例えば、
2012年の出来事だと、4月15日 - タイタニック号沈没から100年。
→このタイミングに合わせタイタニック本が出版されると推測。なるほど。
当たり前といえば当たり前。けど応用し先手をとる事もできる。う〜んボナンザ。

そして膨大な量の本が紹介された中、勝手に読みたいベスト3をピックアップしました。早く読みたいが時間がたりん!
・NHK放送『トラッドジャパン』外国人に対してこんな素敵に日本文化を説明したくなる。
・『かぜの科学』装丁がカワイイ。色がいい。次回の課題本に決定。
・『100均フリーダム』逆を言えば、この手の本は私達に紹介されやすいかも。


『わたしが芸術について語るなら』

芸術についてやさしく語る
本書はもともと児童向けに出版されていた本だが、美術についてあまりにもわかり易く深い内容の為、そのままのわかり易さで大人版が出版された。その為、どうもアートは難しいと感じている人に特にオススメする。著者は日本画家として知られ京都造形芸術大学学長を務める千住博。ヴェネツィアビエンナーレや羽田空港で発表した「ウォーターフォール」の作品で一躍話題となった。

これまで芸術/美術を説明する本は、難解な言葉で読者を煙にまく事が多かった。海外の思想を引用して説明され「知らないお前が悪い」と指摘されても、大半は「なんのこっちゃ」と感じるだろう。これでは芸術が人々から遠のいてしまう。著者は「美」というのはそもそも生きる事と密接しており、生活の豊かさを表していると説く。

美という字の構成は「羊」と「大」だが、羊といえば文明の誕生と同時に羊飼いという職業はあった。羊は人間にとって肉は食事になり、毛は服になり、一緒にいればかわいいなとペットとしても心がやすらぐ。つまり大きな羊は心を豊にするのだ。美術とは人の心を豊かにする術だと著者は冒頭からやさしく説明する。

それを意識すれば生活がどう「豊か」になるかで世の作品の見え方が違ってくる。また印象に残る言葉として、筆者は優先順位をつける事を進めている。1番大事な事、2番目に大事な事、4,5番目はどうだっていいじゃない、と。「秩序ある混沌は必ず人を立ち止まらせる」「すぐれたデザインはもっとも無個性なものだ」(グロピウス)など、作品創りにおいて、大切なテーマが目白押しである。

使用する例は極めて簡単だが、難しいテーマを自身の経験と世界の芸術家の例をあげ深く説明しているので、何度も読みたくなる。仕事と金儲けに専念することなく、人々の心に貢献できる豊かな方には是非読んでほしい。

『参謀は名を秘す―歴史に隠れた名補佐役たち』

真の参謀とは何か
いま軍師や兵法を仕事に生かそうとする本が溢れているが、実際の参謀はどうだったのか。本書では参謀や軍師達は、戦闘や外交において本当にどれだけの仕事をしたのかを色をつけずに検証している。このため自慢話中心のビジネス書を読むくらいなら、本書を読む事をオススメする。

参謀の仕事はトップに対しての情報収集・分析・複数提案であり、トップはこれらを判断し決定する役割だと著者は述べている。だが参謀が力を発揮しすぎてフロントに表れてはいけない。このパターンは国が滅びる危険性を多く含む。本書では駿河国の今川義元における太原雪斎をその例としてあげている。雪斎は戦術以外にも外交に優れ、また戦闘時も前線に出撃し、風貌は弁慶の如く派手であり大名さながらに指揮をした。義元は当主に推薦してくれたこの僧に対して恩があり、制する事ができなかった。家臣の間には「雪斎様は出過ぎである」と不平不満が募る。

また一方、大阪冬の陣において豊臣側として参戦した真田幸村はどうか。確かに彼の発想で築城された臨時の出城「真田丸」は、局地戦では徳川の軍勢に打撃をあたえているが、戦争自体には負けている。参謀が自分のエゴにとらわれているようでは、大局を眺め勝利に導くブレインには程遠い。

本書はこの点をふまえ、現代では参謀とトップの機能を合わせる事が重要と述べている。毛利元就は参謀とトップの役割を一人でこなした。その中でも1番大事にしたのは、三本の矢に示される結束力である。元就は結束力において末端の足軽まで集中したように、著者はブレイン自体を社員全員に組み込み、ひとりひとり参謀の頭脳を持つべきだと論じている。結束力を持った参謀チームの作り方は数々のパターンを紹介しているので、本来の参謀の力をこの本を通じて大いに活用してほしい。



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