【岩手県大槌町】似顔絵ボランティア



2011年12月、現地の仮設住宅に住む方達にヘアメイク、化粧、ネイルなどを行う
Tokyo de Volunteer主催のビューティボランティア活動に参加した。
私は似顔絵描きとして、今回ボランティアに参加した。

上の写真は仮設住宅の付近にあるお店(ファミリーショップ八幡)の店主で、
いつも感謝を忘れず、笑顔を絶やさずにいる女性だ。






震災後のボランティア活動として、これまで石鹸を被災地に送付してきたが
実際に現地に足を運んだことが無かった。

夜行バスで出発。岩手県大槌町は驚くべき光景だった。



家ごと津波に流され、基盤しかない状態。
丘も木々も削られている。自然災害の圧倒的な破壊力を見た。

仮設住宅に住む方達は、被災後まともに化粧ができない状態だった。
それでもメイクさん達により美しくなるにつれ、次第に明るくなっていく方達をみて
出来る事を精一杯やろうと思った。





(写真下)似顔絵を描く間、いろいろと話もする。
アルバムや写真はすべて流されたようだ。
似顔絵という記録になるものは本当に喜ばれた。



下の写真の方は元漁師だった。
今の願いは船がもう1度手にはいる事だそうだ。
眼をみると、確かに職人の眼をしていた。



写真下の方の話では、1度目の大波がきた後、様子を友人と一緒に見に行くと、
次の2度目の波で、隣にいた人も流されていたそうだ。
背景をピンクにしたのは、この色の花が好きだから。



以下写真の方によると、服は支援物資との事。
ゆったりとした表情の裏には大変な思いがあるのだろう。



こちらの方は赤が好き、との事。そのままですな!
かなりモダンですが、ご年齢は60中ばだそうです。
おそるべしビューティーボランティア活動。



アートや美は人間が生きる上で必ず必要なものだと再認識した。
支援活動は継続していこう。生活に彩りを。

どうしてもバスにのる時間の都合で描けなかった以下の方には
写真を撮影しておいて、正月に描きおこした。
これから届ける。喜んでくれるといいなあ。



ウォールを越えた思想『アイ・ウェイウェイは語る』

アイ・ウェイウェイは語る

アイ・ウェイウェイは語る

  • 作者: アイ・ウェイウェイ、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、坪内 祐三(文)、尾方 邦雄
  • 出版社: みすず書房
  • 発売日: 2011/11/2


アイ・ウェイウェイの名前はそこまで日本では浸透していないだろう。艾未未、日本語読みで(がい みみ)という彼は現代美術家・キュレーター・建築家・詩人であり、父であるアイ・チンは1930年代のパリでアートを学んだ詩人である。アイ・チンはランボーやボードレールの影響を受け、中国に帰国後は最高の現代詩人と称されるようになったが、モダニストとして共産党の矛先が向くことになる。文化大革命の時代、アイ・チンは反革命主義、反人民の烙印を押され、人口200人の僻地に送られ公衆便所の掃除係となってしまう。

中国のインターネットは今でも巨大なファイアウォールが存在しており、外からも中からも日本のような普通のアクセスができない。ウェブ上にも万里の長城(グレートウォール)が存在し、それが国土を定義しているように、ネット上でも他の国から中国を防衛している。ファイアウォールを巡る攻防は、政府側と人民側の双方の強い関心ネタとなっている。

そういった背景の中、本書ではアイ・ウェイウェイがどう表現者として活動してきたのかを語っている。とりわけ次の言葉には驚く。

「1970年代の終わりは美術についての本がほとんどなかった。国全体が一冊の本も持たないように定められていたからだ。なにか本があれば北京の極小芸術家サークルで、みんなで回し読みした」

あらゆる本が規制されるなんて、私達本好きにとって一大事である。アーティストでいうと現代美術界で活躍したマルセル・デュシャンはもちろんバーネット・ニューマンの情報も中国には伝わっていなかった。アメリカの国旗の作品が有名なジャスパー・ジョーンズにいたっては当時、国旗自体が公開禁止になっていたので理解できず捨てられたそうだ。
アイ・ウェイウェイは当時を「知識はキュビズムで止まっていた。現代美術でいえば、ピカソやマチスが最後のヒーローだった」と語っている。

しかしその閉鎖された状態から、彼は1970年〜80年代にかけ中国にダイナミックなアヴァンギャルドをもたらした。キュレーターでもある彼の手腕により、抑圧と困難の哲学/芸術/思想運動の中から信じられない世代が形成されることとなる。それは1960年代、アンディ・ウォーホルやヨーゼフ・ボイスなどが欧米で生まれたムーブメントと同じだ。

読み進める上で何度も至極の言葉が登場する。気になる所に付箋を付けていたら、すごい数になってしまい、本が付箋でフサフサになってしまった。

アイ・ウェイウェイは見事、自由な思想でファイアウォールを越えた。思想の改革精神は父アイ・チンの影響もあるだろうが、中国政府からの弾圧に屈しない活動は大変な気概がなくてはやっていけない。この心がまえには感心する。そういえば、表紙のアイ・ウェイウェイの面構えもどっしりしており闘う気迫充分だ。ふと頭によぎったのだが、困難とは本来、その人が乗り越えられるレベルがくるのかもしれない。本書はかなり気にいったので、これから何度も読み直し、その困難な状況を超えるヒントを得ていこうと思う。


ーーーーー その他オススメ ーーーー
ゲンスブール、かく語りき

ゲンスブール、かく語りき

  • 作者: 永瀧 達治
  • 出版社: 愛育社 (1998/02)
  • 発売日: 1998/02
「語る」シリーズではこの本を全面的にプッシュしたい。残念なことに画像がないので、表紙の紹介ができないが本当に渋い本。「ダンディズム」はゲンスブールから教わった。タバコ/酒/セックス。孤独感や甘い囁きなど。ん?HONZでもそんな日本人作家の元秘書がいたような。。
ウィトゲンシュタインの建築 新版

ウィトゲンシュタインの建築 新版

  • 作者: バーナード・レイトナー、磯崎 新
  • 出版社: 青土社; 新版
  • 発売日: 2008/6/20
アイ・ウェイウェイも影響を受けたウィトゲンシュタインは自分の姉のために家を建てた。彼の論理的な思想は、大きなコンセプトから細部にいたるまで反映されており、何から何までデザインされている。ドアノブや暖房設備まで建築物全体を明快にコントロールしていたのである。
フレンチ・ウィンドウ

フレンチ・ウィンドウ

  • 作者: 森美術館
  • 出版社: 平凡社
  • 発売日: 2011/3/24
2011年の夏まで森美術館主催のフランス現代美術の展示会「フレンチ・ウィンドウ」の公式本。マルセル・デュシャン賞で集まったアーティスト達の作品と思想が解説されており、実際の作品達も面白かったが、実はこっちの本のほうが詳しくコンテクストがわかるのでオススメ。はっ!作品を超えちゃいかん。

靴屋のシャッターに裸のビーナス アートボランティア



アート&ペイントが好きな人達でシャッターを彩るボランティアをした。

友人経由から「靴屋のシャッターに何でもいいから絵を描いてみないか」と言われ、何でもいいなら是非やりたいです、とすぐに返事をした。場所は都営大江戸線の赤羽橋駅にあるのだが、ここは東京タワーを近くに見る事ができ、その靴屋は駅からすぐの東麻布商店街にある。のどかな雰囲気を持つ趣ある場所だ。




靴屋の外観はこんな感じだが、先にも述べたように商店街は昭和の雰囲気で、かなーりゆったりと時間が流れている。シャッターには20年程前に誰かが描いた抽象的な絵が描かれていた。

店主の夫婦が言うには、シャッターが色あせてきたので新しくしたいそうで、欲をいえば靴屋として認識できて、今どき感を出してほしいとの事だった。確かに。


シャッターに絵を入れるという、その発想自体が好きなので、私は心意気に答えたいと思った。

70年代の商店街の話をしつつ、私は新しいデザインをその場でラフを描いてみせた。そのうち、一番のお気に入りは「裸のビーナス」である。だが、見せた途端に夫婦は驚き「派手すぎる」とか「裸はちょっと」と言われ、すぐに却下された。



まさかの却下。



一方、靴屋の前にいつも椅子に座り、日なたぼっこしているお店のおばあちゃんがいた。
彼女は、古い絵のほうを気にいっているようで、私が描きなおそうとするのに気づくと、「なんだい、何しにきたんだい?」と警戒ぎみに声をかけてきた。最初からリニューアルに積極的でない様子だ。


正直困った。デザイン案は通らないわ、お店の人達の応援も無い。
さらには期日だ。毎年10月1日に商店街で開催される「かかし祭り」に間にあわせたいそうなのだ。アイデアのボツを出された時点であと1ヶ月も猶予がない。恐ろしいクライアントだ。(注:ボランティアです)

どうしても誰でも思いつきそうなデザインが嫌だったので、意を決して再度夫婦に提案した。
「私は商店街全体の事を考えています。若者はみんなビーナスを気にいってるし、商店街に活気が戻りますよ」と、我ながら説得力の無い気合いだけはあるビーナス案を押した。
※ご婦人のセンスも讃えている


検討しますと言われた5分後。。


快諾。ヨシャー!





決まったら話は早いので、早速制作にとりかかった。ボランティアで集まってくれた方々のお手伝いもあり、作業はサクサク進行した。本当ありがとうございます。例のおばあさんはペンキで下地を塗る際も、横から不安そうに見ていた。「この色は長く持つからねぇ」と元の絵をさして言った。どうみても古ぼけて、みすぼらしくなってるので、20年前の記憶で見ているなと思った。


それでも期待に答える事ができるかな、という不安はあった。
その時である。バケツに足そうとした水道の蛇口が勢いよく噴射した!


シャアアアアア!!




おばあちゃんに直撃!!ずぶ濡れだ!


だがその状況で彼女は名言を吐いた。

「アタシまでキレイにしてくれるのかい?」


ワーハッハッハ!!

なぜかその一言で、私は心が軽くなった。制作はどんどん進行した。シャッターはお店が閉まらないと作業ができないので、閉店後の夜に一気に進めた。






そして完成!!
制作は無事「かかし祭り」に間に合わせることができた。あとでお店の夫婦から聞いた話では、シャッターはお祭りのあと近所でにわかに話題となったそうだ。

そして完成後に再び現地にむかうと、例のおばあちゃんが椅子に座っていた。
彼女はシャッターを近所の人に見せ、「エロい絵ができたんだよ」とほほ笑みながら説明していた。

                    2011.10.20

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【靴屋のシャッターにビーナス】
497×276cm
ペンキ、アクリル、PS加工シート

場所:都営大江戸線 赤羽橋 中之橋口出口 徒歩3分
東京都港区東麻布1-17-16
FOOT WEAR SHOP 小泉靴店(いーすと通り) 03-3583-1572


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