『ペンブックス15 キリスト教とは何か。I』

ペンブックス15 キリスト教とは何か。I 西洋美術で読み解く、聖書の世界 (Pen BOOKS)

ペンブックス15 キリスト教とは何か。I 西洋美術で読み解く、聖書の世界 (Pen BOOKS)

  • 作者: 池上英洋、ペン編集部
  • 出版社: 阪急コミュニケーションズ
  • 発売日: 2011/12/1
ペンブックス16 キリスト教とは何か。II もっと知りたい!文化と歴史 (Pen BOOKS)

ペンブックス16 キリスト教とは何か。II もっと知りたい!文化と歴史 (Pen BOOKS)

  • 作者: ペン編集部
  • 出版社: 阪急コミュニケーションズ
  • 発売日: 2011/12/1
「ウチは無宗教です」と言う人がいるが、日本は八百万の神達が集まる国であり、初詣は神道、葬式は仏教、結婚式はキリスト教といった調子で宗教のフィールドをうまく住み分けているのが現状だ。

ペンブックスシリーズは茶の湯、神社仏閣、戦国武将など知的好奇心をくすぐられる特集が多いが今回はキリスト教。現在の世界人口は約70億人であるが、その内キリスト教徒の数はローマ・カトリック派が約11.3億、東方正教会が約2.2億、プロテスタント諸教会が約4.6億である。つまり約4人に1人がキリスト教徒という事になる。

『キリスト教とは何か。I』では西洋美術から旧約聖書・新約聖書の世界を読み解く事ができる。当時、識字率が極めて低い社会では絵画が最も有効なメディアであった。「天地創造」など宗教画や彫刻/建築物など造型美術の解説を読んでいくと、次第にヨーロッパ精神史の全体像が浮かび上がる。フルカラー図版入りでの解説は、聖書における系図など、これまで断片的だったカインやアベルなど登場人物が一覧になっており、スッキリと理解できた。

『キリスト教とは何か。II』では十字軍や聖地など歴史に焦点がおかれる。同じ仏教でもタイと日本では寺院の違いがあるように、キリスト教にも建築物には歴然とした違いがある。新しい教皇を決定するコンクラーヴェの内部の様子や、今も厳格に生きる修道士の一日などトピックもユニークで、これからじっくりと読んでいきたい。

また三大一神教が集まる聖地エルサレムの勢力図についても述べており、世界情勢を知る上でも欠かせない。代表の成毛眞ブログにはこの雑誌版があげられていたが、こちらのBOOK版もキリスト教と宗教美術の初心者には買いの本。ヨーロッパ旅行で、美術館や教会を訪れる際にも効力を発揮する。

自由への扉『「なぜ?」から始める現代アート』

昨今の美術館は、どこも休日は大人気で鑑賞者で一杯だ。都内の根津美術館などは平日でも込み合っているし、伊藤若冲の展示を観るため東京国立博物館まで足を運んだ事もあったが、最終日という事で館内は満杯で鑑賞どころではなかった。そんな経験から、晴耕雨読ではないが人の少ない雨の日を狙って、美術館に行く事に決めた。入場すれば白い壁に囲まれ、天井の高い部屋に入り、日常と切り離された空間でアートを堪能できる。現実社会のしがらみやタイムスケジュールから開放される豊かで自由なひとときだ。

以前、絵画を鑑賞するガイドとして『名画の言い分』を紹介したが、周囲の反響は良好だった。その時に感じたのは、誰でも心の奥底にアートを理解したい衝動があるという事だ。しかし同時に、現代アートの手引書はないかと探してみたくもなった。

現代アートとは何か。「よくわからないけど、友人に誘われて美術館を観にいったら、なんだか面白かった」というのが現代アートの特徴だろう。1950年代以降、アートの表現は一気に多様化し、視覚以外の身体感覚にまで表現の幅は広がっていった。それはパフォーマンスやダンス、音楽、環境なども含まれている。中には火もあれば水もあり、本書で紹介されている爆発をモチーフとして扱う場合もあり、表現方法は本当に自由だ。

私達はそれらの作品を観て「なぜ?」と考える。著者は東京都現代美術館(MOT)のチーフ・キュレーター長谷川裕子。彼女は作品の見方として「ただ、よくわからないけれど、なぜか惹かれる作品があり、面白い」から一歩さらに奥に進み、その「なぜか」を探求すれば、アートはもっと身近で面白くなるだろうと語っている。

かつてアートは絵画を見るように「視覚体験」が主であった。それが今は思考や情報は、映画やテレビの媒体を通じて複合的な視覚体験として伝わってくる。それら情報過多のサウンドやストーリーなど視覚体験は私達の感覚をマヒさせる。あまりに多くのメディアが、わかり易く情報を与えすぎるのだ。その結果、「なぜ?」と考える機会が減少してしまった。そうした状況に抵抗し、アートこそが再び「なぜ?」の発生をうながすことのできる存在だと筆者は伝えている。

例えば科学者でもあり、光と空間をテーマとする作品を発表するジェームズ・タレルも「アーティストとは、答えを示す人ではなく、問いを発する人」と言い放つ。

花火や爆発を表現手段とする蔡國強などはタオイズム思想をもって、破壊、暴力が美となる矛盾を受け止め、作品として昇華している。彼は以前、爆発ののろしで万里の長城を1万メートル延長した事があった。それは大気圏外からも視認できる大型人工物であり、地球外生命に対してのプロジェクトだそうだ。

ちなみにアートを展示する白くてニュートラルな空間は「ホワイトキューブ」と呼ばれている。1929年に開館したニューヨーク近代美術館(MOMA)から世界中に広まった。あるイギリス人が訪れた際の感想は「月面にきたようだ」と語ったそうだ。それまではヴィクトリア朝風の装飾的な空間しか観た事がなかったので、異世界にタイムトリップした印象を受けたそうだ。

印象的な著者の言葉がある。「臨床心理学で行われる箱庭療法とか塗り絵が、心に傷のある人々にとってどれほど効果的が、ご存知の方も多いでしょう。人は、意味や合理性のある行為だけではストレスがたまるため、遊びの行為、無駄な行為、自分自身の表現につながる手遊びみたいな事、例えば編み物のような事をする事でバランスをとっています」。

本書はやさしい語り口調で、深い「なぜ?」への回答が多く掲載されているが、同時に深く思考するための手引書でもあった。紹介されている作家は、今最も注目すべきアーティスト達なので、作品を通じ「なぜ?」をいろいろ考えてほしい。それらを紐解いていくことで、自身の内にある疑問点もひとつひとつ解決され、自由への道が開けるはずだ。


※私もなぜ?を深く思案した結果、アートは人を救うと手段があると信じ、岩手県大槌町の被災地ボランティアで似顔絵を描いてきた。アルバムも写真も流されてしまった元海女は、強張った表情が少しだけ緩んだ。


大槌町の元海女
(c)Fuzuki Arai

----- 【こちらもオススメ】 -----
全国から選りすぐった着物をフルカラーで紹介しており、生地の素材やカラフルな模様を見ているだけでも楽しい本。どうでもよい事だが、いま呉服屋に古着として着物を出しても、二束三文の価値にも満たない。勿体無い。日本中のタンスのこやしとなっている着物は、それ自体アートなのに。

布の記憶 江戸から昭和―受け継がれる用美

布の記憶 江戸から昭和―受け継がれる用美

  • 作者: 森田直、高安和実
  • 出版社: 青幻舎
  • 発売日: 2011/12/10


こちらは上方伝統芸能におけるオススメ入門書。鑑賞するための値段や着ていく服装、どこに出かければ良いか丁寧な解説あり。これで着物を使うことができる。HONZで入門書は紹介しづらいので控えてたが、文楽デビューしてみたいのでこっそり紹介。文楽といえば副代表、おねがいします(他力本願)

【岩手県大槌町】似顔絵ボランティア



2011年12月、現地の仮設住宅に住む方達にヘアメイク、化粧、ネイルなどを行う
Tokyo de Volunteer主催のビューティボランティア活動に参加した。
私は似顔絵描きとして、今回ボランティアに参加した。

上の写真は仮設住宅の付近にあるお店(ファミリーショップ八幡)の店主で、
いつも感謝を忘れず、笑顔を絶やさずにいる女性だ。






震災後のボランティア活動として、これまで石鹸を被災地に送付してきたが
実際に現地に足を運んだことが無かった。

夜行バスで出発。岩手県大槌町は驚くべき光景だった。



家ごと津波に流され、基盤しかない状態。
丘も木々も削られている。自然災害の圧倒的な破壊力を見た。

仮設住宅に住む方達は、被災後まともに化粧ができない状態だった。
それでもメイクさん達により美しくなるにつれ、次第に明るくなっていく方達をみて
出来る事を精一杯やろうと思った。





(写真下)似顔絵を描く間、いろいろと話もする。
アルバムや写真はすべて流されたようだ。
似顔絵という記録になるものは本当に喜ばれた。



下の写真の方は元漁師だった。
今の願いは船がもう1度手にはいる事だそうだ。
眼をみると、確かに職人の眼をしていた。



写真下の方の話では、1度目の大波がきた後、様子を友人と一緒に見に行くと、
次の2度目の波で、隣にいた人も流されていたそうだ。
背景をピンクにしたのは、この色の花が好きだから。



以下写真の方によると、服は支援物資との事。
ゆったりとした表情の裏には大変な思いがあるのだろう。



こちらの方は赤が好き、との事。そのままですな!
かなりモダンですが、ご年齢は60中ばだそうです。
おそるべしビューティーボランティア活動。



アートや美は人間が生きる上で必ず必要なものだと再認識した。
支援活動は継続していこう。生活に彩りを。

どうしてもバスにのる時間の都合で描けなかった以下の方には
写真を撮影しておいて、正月に描きおこした。
これから届ける。喜んでくれるといいなあ。




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