本のキュレーター勉強会 第5回

ティク・ナット・ハン
春秋社

百木 一朗
ビレッジプレス

毎回、面白い発見がある本のキュレーター勉強会がさらにパワーアップする事になりました。
本のキュレーター勉強会から「東京HONZ(仮)」として活動を開始いたします。

詳しくは完全なレポートになっているえりかさんのブログをチェックしましょう。いつもありがとうございます。あと山本さん、ツイッターでの本の紹介を参考にさせてもらってます。

本屋はほぼ毎日チェックしてますが、皆のオススメ本は本当に旬なラインナップを網羅していると感じます。私が推薦したファミコンの可能性についての一冊ですが、ゲーマーの方が全然いないにも関わらず、熱く語ってしまいました。いいんです、好きだから。

それでは今回も勝手にベスト3冊:
◎ご先祖様はどちら様
家系図をつくる事にハマッていた私にぴったりの本。先祖ルーツ好き(くくりが変)にはたまらない一冊。次回の課題本に決定。
◎禅への鍵
これは土屋さんが個人的にすすめてくれた本。以前『弓と禅』を紹介した事で完全に禅の人となっています。2011年、ティク・ナット・ハン来日に伴うオススメの一冊。
◎直す現場
村上さんご推薦。イラストがい〜い味だしてます。成毛さんと私はこういった線画モノに弱いです。こんなイラストを交えた本を創りたいな。

◎『図説狙撃手大全』→大全って。。狙撃手の正体バレたらあかんがな!と思わずツッコミをいれてしまう。でも『忍びの者100人』みたいで好き。
◎『やせれば美人』→最近ダンスしないとすぐ太るので、こちらも購入。

そして、新たなネーミング「東京HONZ」のロゴを考えています。illustratorCS5を購入しました。これで絵ごころも生かせる。楽しくなってきました!HONZは大きな活動になりそうですよ。

『ハウス・オブ・ヤマナカ―東洋の至宝を欧米に売った美術商』

超一級の美術品を商う
前回、南アフリカで購入した根付の本を紹介した。美術品が海外に流れる経緯には勿論、意図的な要素が含まれる。あたりまえの事だが、購入する者がいればその裏にはプロデュースする人間がいる。これまでは海外に展開する美術商についてまったく意識していなかった。今回はロックフェラーといったアメリカの大富豪を相手に国宝級の美術品を商った美術商―山中商会についての本を紹介する。

山中商会は19世紀アメリカに進出し、日本美術品を大量に販売した大骨董商である。中心人物は山中定次郎で、本書はその活躍ぶりが知れる良書なのだが、何よりもまず正確な背景と資料をもって記述しているので、これだけでも購入価値のある一冊だ。

さて山中商会の美術品は本願寺の菩薩図や、鎌倉時代の作品と考えられる聖徳太子二歳像など激レア(失礼)美術品が多く登場する。また日本だけでなく中国美術にも手を広げているのでその数は圧倒的になる。関係ないが、本の背表紙にある北京での山中定次郎の写真はそんな名だたるコレクションに囲まれており本当に羨ましい。

20世紀初めに清朝が崩壊した結果、中国美術品も大量に放出された。その中でアジア美術のオークションをニューヨークやロンドンにて大規模に展開するが、山中商会は第二次世界大戦の影響で莫大な資産を失い、所蔵したコレクションは全て売り払われることとなった。

本書を読み進めると、歴史と芸術は深くつながっている事を改めて思い知らされる。また芸術の純粋な価値を考える絶好の機会となった。当時のアメリカ美術ブームでは富裕層階級が権力を象徴として芸術作品を他人に誇示する必要があったらしい。そのため衣食の足りた人々は当初、家具、絨毯、鏡などの室内装飾品を集めた。だが産業革命がきっかけで室内装飾品の大量生産が可能になると、芸術/美術品が代わりにその役割を果たす事になった。絵描きや陶芸家などの当人はそんなブームがくるのは夢にも思わなかっただろう。

また日本美術がアメリカで広まった理由として日本人の美術意識の高さがある。猿、魚、鶴、鶏、菊などこれまで考えてなかったものが美術品のモチーフになる。これは聖書や教会など宗教に関連したものが大半を占める西欧芸術文化にとって、日常の対象が美に昇華するインパクトがあったであろう。

ともあれ戦前の山中商会を取り上げたノンフィクションなのに、その精密な資料は数ページ進めただけで必携の説得力がある。商会自体の盛衰を描いておりこれも諸行無常の美を感じる。作品をトータルプロデュースしたと考えれば、山中商会はそれ自体ひとりの芸術家とみれるかもしれない。

『ファミコンの驚くべき発想力 −限界を突破する技術に学べ−』

限られた資源を有効活用
任天堂から発売され大ヒットした「ファミリーコンピューター」、通称「ファミコン」は1983年に誕生した家庭用ゲーム機である。今のゲーム世代は「プレステ」が一般的だが、私はまさにファミコン世代であり、小さい頃友達の家にカートリッジを持ち寄っては皆で遊んだ楽しい思い出がある。現在は世界中にゲームシェアが存在しているが、ファミコンはその基盤を築いてきたといえる。

この小さなコンピューターには緻密な設計思想があり、また驚くべき発想力でもって性能以上のゲームを生み出していた。本書ではその裏側のスペックからどう逸脱させゲームにしていたかのプログラミング技術が理解できる。プログラミングとはいえイラスト(ドット絵)を用意しての解説なので読み易い。

ファミコンの設計コンセプトは明解で、メモリ資源を絞りつつ実用的ゲームを開発する事だった。その反面、サウンドシステムやグラフィックボードは面白いゲームの為にこだわる必要があった。驚く事に、当時の10万近いPCよりも業務用ゲームを再生させる母体ができていたのだ。しかも¥14,800という最高のローコストという超実用新案件であった。

===ファミコンの主なスペック===
定価:14800円
CPU:8ビット、1.78Mhz
グラフィック:256×240ピクセル、52色中25色
電源:専用ACアダプター(HVC-002) DC10V 850mA
消費電力:約4W
メモリ:プログラムROM 32KB キャラクタROM32KB
    メインRAM 2KB ビデオRAM 2KB
スプライト:64個/画面、8個/ライン
背景数:1面
サウンド:PSG音源・・・矩形波2、三角波1、ノイズ1 計5個
映像出力:RF出力のみ 音声出力:モノラル
=====================


「ドラゴンクエスト」などに代表されるRPGのパーティはなぜ4人か。ファミコンにはスプライトというキャラクターを表示させる機能があり、8×8ピクセルは1スプライト。4スプライトを正方形にすると1キャラクター分の大きさになる。ファミコンの再生限界は横水平に4キャラクター分しか表示できない。だから多くのゲームは横4キャラクターの制限をかける。だが「ドラゴンクエスト検廚任錬吉嵬椶痢崘麓屐廚登場。5キャラクターのうち実際4つを高速点滅させ5人に見せる技術であった。この点、後発の「ファイナルファンタジー」はフィールドマップ上に先頭のキャラクター1人のみ表示という巧みな設定としている。

ファミコンの再生色は52色のパレットの内、同時に再生できるのは25色だ。そのうち1キャラクターには4色。マリオの色を想像すると「赤」+「肌色」+「黄土色」あとの1色は透明色。これで背景色を表示させている。この4色表示のデータ量はわずか2ビット。ユーザが快適にプレイする為には高速化設計が最優先だった。解像度は低く、ピクセルが角張ってみえるデータだが、当時のTVへの接続方法はRF出力といって適度にぼやける。これが逆に幸いしてテレビでは色が少しにじんだ、味のある特有の色になった。

ROMにバックアップ機能が無い頃、「ドラゴンクエスト供廚任鷲活のパスワードが長くならないよう入力数を減らす工夫があった。HP/MPのステイタスは再生時には最大に設定。力など強さは経験値から算出。攻撃力は力と武器の合計値、仲間の名前は自分の名前により変化、などである。これらの努力が無かったら、パスワードはさらに長い呪文になっていただろう。

開発者の試行錯誤がわかるので、思わず読みながら微笑んでしまう一冊だ。ナムコから発売された「ドルアーガの塔」は全60面の迷路マップだが、フロア毎に乱数でステージを生成する事で当時としては脅威的なステージが作れたなど、その発想をニヤニヤ読める人にはオススメの一冊。


links

CATEGORY

はじめての方はこちら/当ブログの説明

selected entries

archives

recent trackback

  • 制度の歪みを利用『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015』
    天竺堂の本棚
  • 『ハウス・オブ・ヤマナカ―東洋の至宝を欧米に売った美術商』
    なおきさんのブログ
  • 『かぜの科学―もっとも身近な病の生態』ジェニファー アッカーマン (早川書房)
    なおきさんのブログ

recommend

recommend

recommend

ノンフィクションはこれを読め!  - HONZが選んだ150冊
ノンフィクションはこれを読め! - HONZが選んだ150冊 (JUGEMレビュー »)
成毛 眞
科学・歴史など全ジャンル5000冊から読むべき150冊を紹介している。

recommend

弓と禅 改版
弓と禅 改版 (JUGEMレビュー »)
オイゲン・ヘリゲル
弓の達人と、その弟子ドイツ人のやりとりから見いだす禅の話

recommend

recommend

recommend

recommend

recommend

ヘンな日本美術史
ヘンな日本美術史 (JUGEMレビュー »)
山口晃
現代美術家、山口晃さんによるわかりやすい日本美術の見方。http://honz.jp/18495

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM