【エッセイ】絵を描く理由03 全身全霊

(c)Fuzuki Arai

 

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最近は、どうやって絵のインスピレーションが生まれるの?

と海外の人を含めて、よく聞かれる。

 

経験上、脳で考えて構成を練ると良い作品が生まれない。

 

皆と同じく散歩や風呂、トイレなどリラックスしている時に、いいアイデアが突然浮かんだりする。その時は画像が目の前にビジョンとしてあらわれる。ただ残念ながらそれは1時間もすれば消えうせてしまうので、真夜中に浮かんだときは、「寝ると確実に忘れる」私の特性もよく知っているので、深夜に2次元化する作業をする時もある。実際、私はふだん超ユルい人間だし、適当にボーっとして省エネしていることが多いので、その時くらいは集中する。

 

同様に、描いているときは、どんな気分なのかという質問もよく受ける。

 

集中している間は、とりわけ悦に入ってウットリしているわけでもなく、子供の頃からなので不思議とも思わないが、筆を持つと、穂先と紙、机、自分がいる部屋とその中の空気まで一心同体のような感覚に陥る。時間は感じない。

 

ちなみに高校時代、私は弓道部だったが(二段を所持)、弓矢の動作ひとつひとつに集中した結果、矢が的に当たっていた、その感覚に非常によく似ている。昔の人は、全身全霊という言葉を使用したが、色々と本でこの体験に近い表現を探してみたけれども、1番この言葉がしっくりくる。あるいは日本の書道も近い感覚だと思う。

 

慣れると、この感覚は料理にも応用できることを大人になってから知った。


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