【エッセイ】絵を描く理由05 写生大会

(c)Fuzuki Arai

 

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一層、孤独が好きになった私は、その後どうしたか。

 

小〜中学生、さらには高校生まで絵を人に見せること自体を極力控えるようになった。トラウマというのか、妬みの対象になるのを恐れたのだ。

 

それでも小学校では絵を描く授業になると、何かしら人前で自分の作品をさらすことになる。

 

写生大会などはいい例で、私はなるべく「金賞」などをとらないようにしていた。

例えば、わざと8割ほど空ばかりにするなど意表をつく画面構成にする。

 

今考えてみるとそれはデザイン的にも優れたものなのだが、地元の小学校の風潮というのは、金賞になりそうな作「小学生らしい」絵が好まれる傾向があった。画面に緑があって、山があって、建物や空がバランスよく配置されるもの。紅葉シーズンでは色とりどりの葉が描いてあるとなおよいかもしれない。決して奇をてらい注目を集める手法が好まれるものではなかった。

 

私は、王道だと金賞っぽい絵になるので嫌だった。とはいえ作品のクオリティは下げたくないという、精一杯の矛盾を従えた感情は、奇をてらう画面構成にする変な描き方になっていった。

 

 

 

 


【エッセイ】絵を描く理由04 Zen Painting 無心は禅感覚

 

Zen Painting 
【絵と禅】
絵を描いていると、無心の「いまここにいる」感覚が訪れるときがある。

絵の具をとり、墨を擦り、淡々と筆を紙にのせる。デジタル技術でもって制作してもよいのだが、こうしたアナログな一連の作業、ひとつひとつの動作を淡々とこなすのが好きだ。

外国人からよく禅って結局どういうこと?と聞かれる。私が3歳から絵を描いて、ダンスや弓やらに身体で取り組み実体験でいえるのは、禅とは自分の意識をいつでも「今」におくことだろう。

会社員の時代によくいた「あの時ああすれば良かった!」とか「昔は良かった!」と過去と比較して話する人がいるけど、そんな人は往々にして業績が振るわなかった。きっと今にフォーカスできていないので、脳みそがぐるぐるしてるのだろう。だからマインドフルネスが流行るのね。

とにかく、個人差あると思うが絵は禅体験であり、意識を「今」そのものにもってくる便利なツールなのである。


【エッセイ】絵を描く理由03 全身全霊

(c)Fuzuki Arai

 

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最近は、どうやって絵のインスピレーションが生まれるの?

と海外の人を含めて、よく聞かれる。

 

経験上、脳で考えて構成を練ると良い作品が生まれない。

 

皆と同じく散歩や風呂、トイレなどリラックスしている時に、いいアイデアが突然浮かんだりする。その時は画像が目の前にビジョンとしてあらわれる。ただ残念ながらそれは1時間もすれば消えうせてしまうので、真夜中に浮かんだときは、「寝ると確実に忘れる」私の特性もよく知っているので、深夜に2次元化する作業をする時もある。実際、私はふだん超ユルい人間だし、適当にボーっとして省エネしていることが多いので、その時くらいは集中する。

 

同様に、描いているときは、どんな気分なのかという質問もよく受ける。

 

集中している間は、とりわけ悦に入ってウットリしているわけでもなく、子供の頃からなので不思議とも思わないが、筆を持つと、穂先と紙、机、自分がいる部屋とその中の空気まで一心同体のような感覚に陥る。時間は感じない。

 

ちなみに高校時代、私は弓道部だったが(二段を所持)、弓矢の動作ひとつひとつに集中した結果、矢が的に当たっていた、その感覚に非常によく似ている。昔の人は、全身全霊という言葉を使用したが、色々と本でこの体験に近い表現を探してみたけれども、1番この言葉がしっくりくる。あるいは日本の書道も近い感覚だと思う。

 

慣れると、この感覚は料理にも応用できることを大人になってから知った。



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